ALZUNI BLOG
ALZUNI BLOG

革製品の手入れ:それは「対話」の時間

革という素材には、時間とともに表情を変えていく魅力があります。 使う人の手に馴染み、傷や色の変化さえも「味」として刻まれていく存在です。

今回は、その美しい経年変化をサポートするための「革製品の手入れ」について、 私たちが考える、革との付き合い方、その対話の方法をお話ししていきます。

なぜ、手入れが必要なのか

革は、元をたどれば動物の皮膚です。人間の肌が、乾燥すれば潤いを必要とし、汚れたら清潔にする必要があるのと同じように、革もまた、適切なケアをすることで、その生命を永らえ、美しさを保つことができます。

しかし、私たちが考える手入れは、単なる「メンテナンス」ではありません。それは、自分の大切な持ち物と向き合い、その状態を確かめ、感謝を伝える、豊かな「対話」の時間です。布で優しく表面を撫で、クリームを塗り込む。その静かな時間の中で、私たちは、ものに対する愛着を再確認し、日々の喧騒で忘れてしまいがちな、穏やかな心を取り戻すことができるのです。

手入れの基本:知っておきたい三つのこと

革との対話は、決して難しいものではありません。基本は、たった三つのシンプルなステップです。

一つ目は、「汚れを落とす」こと。馬毛などの柔らかいブラシで、表面のホコリや汚れを優しく払い落とします。縫い目や隙間に溜まったホコリも、丁寧に取り除いてあげましょう。これは、対話の前の、準備運動のようなものです。

二つ目は、「潤いを与える」こと。革は、乾燥するとひび割れの原因になります。それを防ぐために、革専用のクリームを少量、柔らかい布に取り、薄く、均一に塗り込んでいきます。つけすぎは、シミやカビの原因になるので禁物です。革が「もう十分だよ」と教えてくれる、その声に耳を澄ますことが大切です。

そして三つ目は、「休ませる」こと。クリームを塗り込んだら、すぐに使うのではなく、風通しの良い日陰で、革が栄養をじっくりと吸収する時間を与えてあげましょう。一晩ほど休ませてから、最後に乾いた布で余分なクリームを拭き取れば、対話は完了です。革は、しっとりとした落ち着きと、美しい光沢を取り戻しているはずです。

アルズニと手入れの向き合い方

「やりすぎない」という、美学

私たちは、お客様に「手入れは、やりすぎないでください」とお伝えしています。過度なオイルやクリームの塗布は、革本来の呼吸を妨げ、かえってその寿命を縮めてしまうことさえあります。

基本的には、革の表面が少し乾いてきたな、と感じた時に、上記の基本的なケアをしてあげるだけで十分です。頻度としては、数ヶ月に一度でも多いくらいかもしれません。それよりも大切なのは、日々、愛情を持って製品に触れ、その小さな変化に気づいてあげることです。革との関係は、人間関係と似ているのかもしれません。

雨の日の、特別な対話

革にとって、水分は大敵です。もし、雨などで濡れてしまった場合は、特別な対話が必要になります。まずは、乾いた布で、叩くように優しく水分を吸い取ってください。擦るのは、シミを広げる原因になるので厳禁です。

その後は、決してドライヤーなどで急激に乾かそうとせず、形を整えてから、風通しの良い日陰で、自然に乾くのを待ちます。革が乾くまでの時間は、少しもどかしいかもしれませんが、それもまた、革との大切な時間です。完全に乾いたら、必要に応じて少量のクリームで潤いを与えてあげましょう。雨上がりの虹のように、革はより一層、美しい表情を見せてくれるかもしれません。

持ち主の「手」こそが、最高の道具

究極的には、革製品にとって最高のメンテナンス道具は、持ち主の「手」であると、私たちは考えています。

日々、製品に触れることで、手の脂が自然な油分として革に浸透し、美しい光沢と保護膜を作り出してくれます。特別な道具やクリームがなくても、ただ愛情を持って撫でてあげるだけで、革は十分に育っていくのです。

「育てる」という感覚で、革製品と付き合っていく。それこそが、アルズニが提案したい、最も豊かで、シンプルな手入れの方法です。

まとめ

革製品の手入れは、面倒な義務ではありません。それは、自分の大切な持ち物と向き合い、愛情を注ぐ、創造的で、豊かな時間です。

アルズニは、これからも、永く使える丈夫な製品を作ることはもちろん、その後の「革との対話」の楽しみ方まで、お客様にお伝えしていきたいと考えています。ぜひ、あなただけの方法で、革との対話を楽しんでみてください。

more insights