ALZUNI BLOG
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革製品の価値の向上:時間とともに深まる美しさ

革という素材には、時間とともに表情を変えていく魅力があります。 使う人の手に馴染み、傷や色の変化さえも「味」として刻まれていく存在です。

今回は、アルズニが大切にしている「経年変化」という考え方について、 なぜ私たちは、新しいものよりも、古くなったものに、より一層の価値を見出すのか、その思想の背景をお話ししていきます。

なぜ、私たちは「失われること」ではなく「育つこと」を選ぶのか

多くの工業製品は、生まれた瞬間が、その価値の頂点です。そこからは、時間とともに、機能は衰え、見た目は劣化し、価値は失われていきます。しかし、良質な革製品は、その逆の時間を生きます。生まれた瞬間は、まだ何者でもない、未完成な存在。それが、持ち主の手に渡り、使われることで、初めて、その本当の価値を開花させていくのです。

色合いは深みを増し、表面には自然な艶が生まれ、持ち主の体の形や、使い方に合わせて、しなやかに馴染んでいく。時折ついてしまう傷やシミでさえ、その製品が、持ち主と共に生きてきた、かけがえのない「歴史」の証となります。私たちは、この「失われる」のではなく「育っていく」という変化の中にこそ、革製品が持つ、最も尊い価値があると考えています。

「時間」という、最高の職人

私たちは、製品を作る際、常に「時間」という、もう一人の職人の存在を意識しています。私たちの仕事は、製品を完成させることではありません。最高の素材と、最高の技術を用いて、時間が、その腕を存分に振るうことができる、最高の「土台」を準備することです。

例えば、アルズニがこだわる「タンニンなめし」の革。この革は、植物の渋(タンニン)を使って、数ヶ月という長い時間をかけて、ゆっくりと作られます。この時間のかかる製法こそが、革に、豊かな経年変化をもたらす、生命力を与えてくれるのです。そして、その革を、あえて分厚いまま使うこと。それもまた、何十年という長い時間に耐えうる、強靭な土台を作るための、私たちのこだわりです。

アルズニと「経年変化」の向き合い方

「余白」を、デザインする

私たちのデザインは、常に「引き算」の発想から生まれます。華美な装飾や、流行のデザインを追い求めるのではなく、素材そのものが持つ美しさを、最大限に引き出すこと。そして、その先に、持ち主が、自分だけの色を加えていくための「余白」を残しておくこと。

シンプルなデザインであるほど、革の表情の変化は、より豊かに見えます。持ち主の個性が、製品の上に、素直に現れるのです。私たちは、その「余白」こそが、最高のデザインであると信じています。

「修理」という、対話

アルズニでは、自社で製造した製品の、修理やメンテナンスを、永続的に行っています。それは、単なるアフターサービスではありません。持ち主が、その製品と、どんな時間を過ごしてきたのか。その物語に耳を傾け、製品を、再び、未来へと繋いでいくための、大切な「対話」の時間です。

ほつれた糸を縫い直し、すり減ったコバを磨き直す。その作業を通じて、私たちは、自分たちが生み出した製品が、持ち主の人生の中で、かけがえのない存在になっていることを、実感します。そして、その喜びが、また次の、ものづくりへのエネルギーとなるのです。

持ち主が、価値を完成させる

革製品の価値は、ブランド名や、価格で決まるものではありません。その製品が、どれだけ持ち主の人生に寄り添い、どれだけ多くの物語を刻んできたか。その「時間の密度」こそが、製品の本当の価値を決めると、私たちは考えています。

あなたが、その製品と共に過ごした時間。その中で感じた喜びや、時には悲しみさえも。そのすべてが、革の深い色合いや、艶の中に、静かに蓄積されていきます。そして、いつの日か、その製品は、単なる「もの」を超えて、あなたの人生そのものを象徴する、宝物となるのです。その価値を完成させることができるのは、世界でただ一人、あなただけなのです。

まとめ

経年変化とは、単にものが古くなることではありません。それは、持ち主と、ものが、共に時間を過ごし、互いに影響を与え合いながら、新しい価値を創造していく、美しいプロセスです。

アルズニは、これからも、時間という最高の職人と共に、ものづくりを続けていきます。あなたの人生という、長い旅の、最高の相棒を、生み出すために。

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